【南紀】熊野川・白見谷第三支流

記 吉岡
タイトル ナメ滝と周囲の自然が美しい、初心者にも楽しめる沢
メンバー L 吉岡、丸尾、榎、宇川
日程 2008年4月13日 天気
場所 【南紀】熊野川・白見谷第三支流 地形図 大里
歩行時間 5時間36分 遡行図 有り
コース
タイム
葵の滝(7:18)→葵の滝落ち口(7;30〜7:35)→炭焼き窯跡(8:08〜8:17)→第一支流出合
(8:42〜8:58)→第二支流出合(9:17)→第三支流出合(9:29〜9:46)→25mの滝直下(9:55)→二俣(10:07〜10:18)→二段40m滝の直下(10:39〜10:51)→最後の二俣(11:26)→尾根に出る(11:55〜12:06)→白見山(12:30〜13:13)→「集合解散場所」の木札(14:00)→第一支流を渡る(14:30〜14:35)→白見谷・葵の滝前着(15:03)
アプローチ マイカー利用。葵の滝前の広場に5台くらいの駐車スペースがある。
装備 一般沢装備、ザイル
メモ 葵の滝は一条となって堂々と飛散する滝で別名、那智の裏滝とも呼ばれている。葵の滝は熟練者なら左手の凹角を樹木を利用して登れる。現流域のナメは流れの中を遡れるので楽しいが、よく滑るので注意したい。下山の白見口コースは最近は余り歩かれてなく、所々不明瞭となっているので、地図で確認したい。

白見谷は、二等三角点のある白見山(925.9m)を中心に北に派生する田長谷との分水尾根及び、東に延びる笹地尾根北面の水を集め、熊野川へと注ぐ一支流である。この白見谷〜大雲取山周辺は石英粗面岩の地質で、その露頭が随所に見られ、谷は磨きぬかれたナメが存在する。白見谷も例外ではなく、滝の数こそ少ないが葵の滝を始め、源流のナメ滝は周囲の自然が調和して美しい渓谷美を生み出し、初心者にも楽しめる沢だ。
 この谷の遡行は1979年11月以来、実に26年振りの入谷で、前回と同じく第三支流を詰め上がり白見山の山頂を踏んだ。
前回は葵の滝(写真@)左横の凹角を登っているが、今回は国道を本宮方面に200m程行った先の左手に入る山道をたどる。山腹を急登して登り詰めると、葵の滝の落ち口すぐ上で、上流はゴーロとなっている。すぐ先に出合う10mの滝が懸かるルンゼを見送ると、谷は大きく左に折れて転石の合間に小滝とナメが走る。石飛び、へつり、時には巨岩を乗り越えて進むと、左手に古い窯跡が目にとまる。右に大きく曲がり巨岩が鎮座する横を抜けて、岩間に懸かる2m滝、岩間の小滝を越えるとゴーロ帯となり、右岸から涸れ谷が入る。地図上のヘアーピンカーブの地点であろう。
ここから谷幅が広くなり岩間2m滝と淵を越して行くと、左岸から第一支流が二段のナメ滝を懸けて出合う。水量比は3:2で、左の本谷は南へと向きを変えて岩間2m滝に続いてナメ滝4×10mを懸けている。右岸はスラブ帯で、その一部から水量の少ない15mの滝となってルンゼが出合っている。

出合に懸かる葵滝30m@
谷はここで右に大きく曲がって、次に斜めに落ちる7mの滝が現れる。これを過ぎると右岸の壁は低くなり、ナメL7mに続いて形の良いナメ滝4m(写真A)があって上流にはナメL30mが岩盤の上を滑るように流れ落ちている。ナメが尽きると再びゴーローとなって左岸より顕著な支流(第二支流)が合流してくる。出合付近はゴーロとなっているが水量は多い。
第二支流は白見山へ直接突き上げるが、今回は変化のある左の本谷を取ることにした。
ゴーロー状の中をしばらく進むと再び谷は大きく二分して第三支流が左岸から流入してくる。水量の多い左が本谷で、白竜ノ滝25mと源流にかけては石英粗面岩の磨かれたナメが連続して興味深いが、白見山へ登る場合には遠くなるので、前回と同様右俣(第三支流)を詰め上がることにする。谷は左から右にS字状に曲がりナメ状の流れを進むと、行く手に25mの立派な滝(写真B)が現れる。ここは右岸から高巻いて登ると、下からでは眺められないナメ滝L9mがあって、上にはナメが30mばかり続いている。


形のよいナメ滝4mA

第三支流に懸かる25mの美瀑B
上流は尚も一枚岩のナメ床が続くが岩が詰まっていて見栄えはよくない。右岸にスラブを見て行くとナメ滝4mに続いて6m滝が美しく懸かる。滝の上は磨かれたナメ床(写真C)となり二俣まで続く。
二俣では右の谷を取りナメL15mをこなすと、炭焼き窯跡が目にとまる。上流はゴーロとなり伏流となった中を行くと、次のナメ滝L5mで細いながらも水が流れ出す。左岸の斜面から清流が湧き出ていて、周囲には杉の植林が育っている。湧き水を見て5分も行くと、再び谷は二分して、右の谷には幅広い岩盤上にナメ滝の流れを広がり落とす。この滝は高さが二段40m程もあり、最初は右岸水際から登り初め、途中から樹林帯に入ったり、流れに出たりしながら登っていくと、続いて二段60mはあるかと思われる滝(写真D)があって、水際を直登して行くが、登るほどに高度感が増してきて、その上滑りやすい箇所もあるので、中程からは樹林帯に逃げたりしながら滝場を登り切ると最後の二俣となり水も切れる。

上流域に続くナメC

源流域に懸かる2段60mの滝D
後は樹林帯を喘ぎ登り笹地尾根へと出て、白見山の山頂(写真E)へは12:30分に登り着いた。
白見山は標高925.9m、二等三角点の埋まるピークだが、周囲は桧の林で展望はよくない。点漂名は「栂ノ戸」で場所を選べば対岸の子ノ泊山、和気ノ森、遠くは大峰の笠捨山などが眺められる。
下山は山頂から西にわずか進んだ先の分岐を右に折れて尾根筋(白見口コース)を下る。所々に分岐があるが、目印のテープを拾って行けば、やがて「集合解散場所」と書かれた木札が目に止まる。そこから植林の中、山腹を絡む道を拾って下って行けば、第一支流を渡るが、この辺りシダが生い茂り、倒木などもあって道は不明瞭なので注意したい。谷を渡ってからは道も明瞭になり25分程も歩けば葵の滝の上部へと出て、そこから10分ほどで白見口バス停に下り着く。

白見山山頂での憩いの一時E