高島市の北方の三重嶽から南下し、石田川に流入する八王子谷は標高差620m程の小さい谷で、中程で八王子谷と一の谷に二分し、さらに一の谷は580m付近で大きく二分する。谷中は3m前後の滝が数多く懸かり、ちょっとした廊下もあって、三重嶽に登るバリエーションルートとしても面白い。東隣の間谷(合田谷)はナカニシヤ出版の『近畿の山 日帰り沢登り』で紹介しているが、この周辺は近年「高島トレイル」として人気を呼んでいる山域で三重嶽への登山道も整備されていて、下山には南東尾根(長尾)を取って下った。
6月7日(土)
いつもの沢行なら前夜発とするところだが、Nさんの希望もあって、午後早い時間に出発し、石田川には14時過ぎに着いて夕暮れまでの時間は渓流釣りを楽しむ。釣り果は3匹(ヤマメ)で、落合のあずまやに移動して、焚き火の火にかざして塩焼きを始める。じっくりと遠火で焼き上げるのがコツだ…。いい感じに焼き上がる頃、後発のNが一人でやってくる。聞くと他のメンバーは天気予報が良くないのでキャンセルとなったらしい。夕方の4時過ぎから始まった宴は夜の9時まで続いた後就寝。
6月8日(日)
朝は5時過ぎには起きて、一台を下山口へと置き八王子谷へと入る。二つの堰堤を越えたところから入谷。左に小さい谷を見送ると早速両岸の岩壁が発達して谷中に3mの滝が釜を従えて懸かる。上流にも滝が続くようだが、突破するなら泳ぐしかなく、しばらく躊躇していたが、朝の一番からでは泳ぐ気にもなれず、ここは仕方なく右岸を大きく巻き上がり岸壁が途絶えた、くの字形5m滝を越えた地点に降り立つ。 ゴルジュを抜けると平凡な流れとなり、右からの枝谷に続いて左から枝谷を迎えると、谷は再び変化を見せ始め、1.5mの滝を皮切りに数個の小滝が連続する。滝場が終わると谷は大きく二分して左、八王子谷と右が一の谷となる。地図の標高382m地点である。ここでは右の一の谷をツメ上がることにした。 |
ゴルジュの入り口に懸かる3m滝 |
一の谷に入ると小滝がぽつりぽつりと出てくるが、どれもたいしたことはなく、途中から竿を出して釣りを試みる。次ぎの奥の二股までで3匹をゲットする。 奥の二俣では左の谷を取り3m、2mの滝は右岸から小さく巻いて、所々に出てくる小滝を過ぎて遡上を続けると、形の整った4mの滝が現れる。ここは左から小さく巻いて上に続く4mの滝は右手から巻いて通過する。次に2mの滝があって右からの枝谷を2本見送ると5mの滝が出てくるが、シャワーを浴びて直登した。 |
八王子谷でゲットしたヤマメ |
中流域に懸かる3mと2mの連瀑 |
谷は源流域へと入り傾斜が強まり3段小滝をこなすと760m地点の二俣にでて、流れも途絶える。タニウツギの花が迎えてくれる中を、斜面をジグザグに登行して行くと太尾と呼ばれるだだっ広い尾根上に出る。近くに高島トレイルがあるはずだが・・・と手分けして探すと10分余りで道が見つかり、東へと15分も辿れば二等三角点の埋まる三重嶽974.1mであった。山頂には先客がいて挨拶を交わす。朝方には曇っていた空も何時しか青空を向かえ暑いくらいの陽気となる。山頂には高島トレイル「中央分水嶺」の標柱が立ち、奥琵琶湖の景観が楽しめる。
下山は南東尾根を下る。別名長尾と呼ばれ、ブナ林の尾根が698m独漂あたりまで続く。この道は昔、函館山麓の旧川上村の人たちの入会地、山上(三重)嶽の山仕事に使われた道だという。道は最近ではよく踏まれており、ブナの木々を眺めながらの美しい風景が楽しめる。東側にも木立越しに長い尾根が続くのが見える。近江坂の通る大御影山である。湖西の山はいずれも1000mに満たない高さだが、隆起準平原の広大な山上部が特徴だ。
独漂698mを過ぎた辺りからはスギ林が現われてきて、尾根を絡むように下って独漂592mの先端に出ると一気の下りとなる。道は急な斜面をジグザグを切って、しばらくで落合の少し下流側の車道に降り立つ。 |
二等三角点の埋まる三重嶽の山頂でのスナップ |
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