【台高】又口川・三俣谷

記 吉岡 章
タイトル 中程にある45mの大滝と上流域に見る長大なナメは遡行する者を飽きさせない
メンバー L吉岡、丸尾、尾崎、上仲、榎、宇川、(神戸労山3名)
日程 2008年9月9日(火)N〜9月10日(水) 天気 晴れ
場所 【台高】又口川・三俣谷 地形図 引本浦、河合、高代山、尾鷲
歩行時間 5時間15分 遡行図 有り
コース
タイム
三俣谷出合(7:23)→大岩(7:45〜7:53)→45m大滝直下(8:32〜8:55)→大滝上)(9:47)→右岸からの枝谷出合・390地点(10:00)→右岸からの大きい枝谷出合・標高620m地点(10:25〜10:40)→巨杉を従えた5m滝(11:11)→二俣・850m地点・昼食(11:40〜12:37)→県境尾根に出る(13:15)→柳ノ谷に出る(15:20〜15:30)→吊橋(15:57)→林道終点(16:07)→又口着(16:31)
アプローチ 国道169号を池原ダムへ、ダムから国道425号に入りダム湖に沿った道を尾鷲方面へと向かう。
ナゴセを経てトンネルを抜ければ三重県に入り、又口に至る。当麻から122.8km、約3時間15分。
装備 ザイル8mm×30m、一般沢装備
メモ 下山の山道は既に廃道となっており、下山に思わぬ時間を要する。

三俣谷は台高主稜線の南端東側を洗う又口川の支流にあって、古和谷と並んで遡行価値のある谷として、『関西周辺の谷』にも取り上げられている。下流域はゴーロの中に小滝ばかりでたいした変化がないが、中程にある45mの大滝と、上流域では花崗岩の岩床を走る長大なナメとナメ滝は遡行する者を有頂天にさせる魅力を持っている。
 この谷に訪れたのは1985年の10月で、この時は単独で遡行していて、今回が23年ぶりの再訪となった。
企画の提案者は、最近沢登りにすっかりはまっている上仲さんの希望を取り入れたものだ。
 前夜は神戸方面から来る丸尾さん達と道の駅・杉の湯で待ち合わせ、池原からR425に入り又口で仮眠。尺土から三俣谷の出合まで約3時間強、122.8kmの道程であった。

翌朝、又口から三俣谷出合へと移動して、又口川の流れを徒渉して三俣谷に入る。入り口付近は杉・桧の植林が伐採され右岸側は、目下伐採中でチェンソーの音が耳をつんざく。伐採された木々を乗り越して進み、伐採が途切れたところから谷筋に降り立つと大岩があり、岩間に逆くの字形5m滝が懸かる。
谷は入り口からゴーロ帯が続いていて、上流にも岩間に幾つかの滝を懸け、右に左にとこなして行くと、3段7mの滝(写真@)が懸かる。
左手を越えて行くと左岸から10mの滝を懸けて枝谷が出合い、上方に大滝が赤茶けた花崗岩の岩盤をやや斜めに幾段にも腰を打って飛沫を上げている。落差は60mと記録にあるが、目測で45m(写真A)位と思われる。一息入れた後、滝の左側の壁に取り付きモンキークライムで直上し、後続はビレイして上げるが、腕力に無い女性には難しいらしい。2ピッチ目は、滝見に沿って潅木の中を登り、落ち口手前からは、流れの中を登って滝頭に立つ。

3段7mの滝をこなして行く @

大滝45mの雄姿 A

大滝を登る

大滝の上段は流れの中を直登
次ぎに釜を持った斜瀑5mがあって、ここは右手から越えて行くと、上流はナメ状となる。ゴーロを過ぎ、4mの滝を越えると右岸からい大きい枝谷が流入する。地図の標高390m地点である。少し間を置いて、左岸から8mの滝を懸けて出合う枝谷を迎えると、上流は大岩で始まるゴルジュ帯となる。8m滝を右から巻いて通過すると左岸から6mの滝となって枝谷が流入してくる。2mの滝を登り、続く9mの滝は滝身を直上してこなし、小ナメの後に懸かる7m滝をフリーで直登。上に続く岩間2m滝を越えるとゴルジュが終わる。
少し間をおいて懸かる階段状小滝と、二段4mの滝をやり過ごすと、右岸からの大きい枝谷を迎える。地図の漂高620m地点で、右の本谷には7mの滝を懸ける。滝の上からは、長いナメがトユ状の中に50m(写真B)程続き、さらに上流にも 幅の広いスラブの中にナメが300mばかり続いていて快適にこなして行ける。次にトユ状5m滝があり、榎さんはシャワーを浴びて直登するが、他のメンバーは右岸のスラブを容易く伝う。上方に続く一枚岩のナメL40mが終わると、左岸から小さい枝谷入り、本谷にはナメ滝2段5mが懸かり、上のナメL20mへと繋げている。その後7mの滝をこなすと、巨杉を従えた5m滝が落ちるが、ここは巨杉の根元を小さく絡んでこなして行ける。その先、階段状小滝とナメ滝が現れ、さらに平凡な流れに出てくるナメラ帯を快適に進むと、やがて二股に出る。
ここで標高は850m。周囲は二次林ながら自然林が美しいところで、少し早いが昼食としてザックを降ろす。

トユ状ナメが50mほども続く B
昼食の後、左俣をつめ上がる。しばらくして水も切れ、次第に傾斜の強まる中を、一汗かいて登ると20分ほどで尾根に出た。尾根には県境を示す境界見出し漂がある。
下山は地図の山道を柳ノ谷へと下ることにして、尾根を北西方面に取り、鞍部から1112m方面へ少し登った桧の植林の中にある、山道から柳ノ谷へと下る小道を拾って下るが、途中からブッシュに隠れて不明僚となり、強引に枝尾根に沿って下っていけば県境となっている谷に下ってきて、露岩の立つ中の弱点を縫って谷筋に下り、下っていけば谷が左に折れ曲がる地点で石摘みの残る山道を見つけ、それを踏み外さないようにジグザグに下って行けば、柳ノ谷の本流へと降りてくるが、沢登りそのものよりも返って難しい。後は本流の左岸に続く踏み跡を下って行くと、老朽化して、つるが巻きついた吊橋が架かっている。恐る恐る慎重に渡って、右岸沿いの山道を下っていくと、送水管があり、そこから路は明瞭となり、10分も道をたどれば林道終点の広場に出る。以前はここまで車が入れたが、今は林道入り口でゲートがあって奥には入れない。林道終点からは2.9kmの道のりを早足で歩いて30分強で国道出合いの又口へと帰り着く。


大滝45mの直下で記念のショット

上流部のナメ