釜を従えた4mの滝を過ぎ、ゴーロに懸かる小滝を数個こなして行くと、眼前にこの谷随一の琵琶滝が上下二段になって堂々たる容姿を見せている。落差は50mを誇り、『大和名所図会』等では『廣大瀧』と記され、幾分斜めの岩壁の上を一気に30m余りも落ちて一寸した釜を作って下段につなげており、直下に立つと水飛沫が頬に冷たい。秋にもなればこの辺りの谷間の紅葉は素敵に美しい。琵琶瀧の名は、この谷の両岸一帯の山を指して『琵琶山』というところから名づけられたと文献に出ている。
直下より仰ぎ見る琵琶滝二段50mの雄姿、滝飛沫が頬に冷たい
琵琶滝の突破は滝のすぐ左の鏡石谷(三段30m滝の懸かる枝谷)に入り、泥壁を木やツルを掴んで強引に岩場の上部へ抜けて高巻き道と合し、右へ踏跡を辿って滝の落口に立つ。 下多古川の見せ場はこの琵琶滝から始まる。 |
直下より仰ぎ見る琵琶滝二段50mの雄姿、
滝飛沫が頬に冷たい |