【上越】湯檜曽川・東黒沢・白毛門沢

記  吉岡
タイトル ナメ滝と連瀑で構成された谷川連峰の入門的な沢
メンバー 吉岡、丸尾、榎、宇川、八嶋
日程 2009年8月22日(土) 天気 曇り
場所 湯檜曽川・東黒沢・白毛門沢 地形図 茂倉岳(2万5000分ノ1)
歩行時間 6時間 02分 遡行図 なし
コース
タイム
遡行時間:白毛門登山口(6:52)〜白毛門沢出合(7:38〜8:00)〜タラタラのセン(8:41)〜大滝25m上流(9:08〜9:25)〜左岸からの10mの滝を懸けた枝谷出合下流(9:50〜10:25)〜二俣(10:58〜11:10)〜白毛門(12:22〜13:00)〜松ノ木沢の頭(13:33〜13:45)〜1200m地点(14:09)〜土合橋(15:10)
アプローチ アクセス:葛城市から名阪道〜上柘植IC〜水口〜八日市IC〜北陸道〜関越道水上IC下車、土合橋駐車場(無料、奥ではキャンプも出来る)。葛城市から約730km、休憩をいれて約9時間。
装備 基本装備
メモ アドバイス:初心者がいる場合はザイルが必要。流程は短いが、スラブに囲まれている沢なので、一時的に多量に降る雨には急激な増水となることがあるので要注意。最近では下流域でキャニオニングが盛んでツアー等が組まれている。

谷川連峰の入門的な沢としては、ヒツゴー沢と並んで人気のある白毛門沢は、湯檜曽川の支流、東黒沢から分かれ、白毛門1720mに突き上げる、標高差1060mの沢である。アプローチも短く、ナメとナメ滝の連続、中間部に懸かるタラタラのセンと呼ばれる大滝、ツメの明るいスラブ帯で構成され、楽しい沢登りを約束してくれる。終了点が谷川連峰を一望できる山頂なのも気持ちが良く、下山は整備された登山道を下るので、初心者にも安心だ。

当初の計画では赤谷川の笹穴沢を計画していたが、先発している労山のKから連絡が入り、谷川岳周辺はゲリラ豪雨に見舞われるかも…?ということで、我々も予定を急遽変更して彼らと同じ、白毛門沢に行き先を変更した。東京からは前夜発日帰りの沢だが、関西からだと車の場合730kmはあり、アプローチに9時間は要し、土日2日間の休みでは少々きつい山行である。山行きのために買い換えた愛車キャラバンで、前夜21時過ぎに葛城市を出発。名阪上柘植ICから水口を経て八日市ICから名神高速に入り、北陸道をひた走り、関越道の水上IC車。途中雨にたたられ気分が憂鬱になりながらも、入谷地点の土合橋の駐車場へは翌朝の6時過ぎに着いた。3人で交代しながらの運転であったが、ほとんど寝ていないのが現状だ。気になる天候の方であるが、雲がたれ込めているものの、「たいした降りにはならない…」というKのアドバイスに期待して、身支度を済ませ7時前には出発した。

白毛門への登山道に入ると、すぐに東黒沢を渡るが、そこから東黒沢沿いの山道を利用して堰堤を越えたあたりから入谷する。早速大きく蛇行する美しいナメが迎えてくれる。ブナの森を流れる美しいナメが始まってしばらく行くと、大きなナメ状のハナゲの滝5×20mが現れる。ここはフリクションを利かせて快適に登って行けるが、上部は水量によっては突破が難しく、初心者がいる場合はザイルを出して安全を期したい。
 さらにナメとナメ滝が続き、その先でドンと居座る大岩を過ぎると、左から1対3の水量で5mの滝を懸けて白毛門沢が出合う。その後も続くトユ状ナメ、3m5m、5m滝と次々と越えて行く。しばらくで右から10mの滝を懸けて枝谷が入り、次の6mの滝は左岸から巻いて、上流に続くナメ滝L40m、階段状8mの滝と快適に越えて行く。奥に10mの滝を見ると、ここからは連瀑帯となり、右から登って行くと次に、斜瀑4×6mがあって、その上にタラタラのセンと呼ばれる大滝18mが飛沫を上げている。直登は難しく左の踏跡から高巻くが、踏跡が錯綜しているので、大きく巻き過ぎないよう注意したい。

一枚岩のナメ床が続くハナゲの滝5×20m

連瀑帯の10mの滝

タラタラのセンの上流にも滝場が途切れる事なく続き、次に斜瀑9m、4mの滝とがあって、6mの滝を右岸から巻き登ると、眼前に斜瀑8×15m、上には全長25mはあるかと思われる大滝が美しく懸かっているのが眺められる。直登は難しく、右岸に付けられた踏跡をたどることにする。高巻きから沢に降り、後続の3人を待つが、20分が経過しても姿が見えない。大きく巻きすぎて上流に降り立ったかも知れない?と判断し、上に続く5mの滝、ナメ滝L70m、斜瀑9×18mの滝を越えたところで、再び腰を降ろし後続を待つ。しばらくしてやってきたパーティに彼らのことを問い合わせて見るが、「見なかった!」という返事が返ってくる。彼らの行動を分析の結果、途中に横切る枝沢に間違って入ってしまったのでは、という結論に達し、さらに待つこと20分余りで、単独者がやってきて、「その3人ならもう少しで登ってくる」と返事があり、ホッと胸を撫ぜ下ろす。ばつが悪そうなEに聞くと、やはり想像した通り、枝沢に入ってしまったとの事であった。
小滝とナメの後、左岸から10mの滝を懸けて出合う枝谷を見送ると、水量も少なくなってナメの後にゴーロ帯となる。ゴーロが尽きると再びナメとナメ滝が所々に出てきて、やがて二俣に出る。右が本谷で水量も3対1と本谷が多いが、ここでは直接白毛門に突き上げる左の谷に入る。
沢筋には、メタカラコウやウツボグサ、オヤマノリンドウ、シモツケソウなどの花々が咲いていて、目を楽しませてくれる。
登るに従い傾斜も強まり、行く手上方には、白毛門の名の起こりとなったジジ岩、ババ岩の岩峰が見え始める。乾いたルンゼからスラブ帯の登攀となり、笹が藪っぽく茂ってくるが、遡行する人が多いため、沢筋の笹薮の中には踏跡がずっと続いていて、それを外れないように忠実に辿ると、ドンピシャリ、白毛門1720mの山頂に飛び出した。
山頂からは谷川岳や朝日岳をバックに写真を撮り、軽く腹ごしらえして13時に下山にかかる。途中谷川岳の一の倉沢を眺める好展望台もあり、幾度かの休憩を入れて15時10分に労山のメンバーが待つ土合橋の駐車場へと下ってくる。登山道は良く踏まれてはいるが、急坂や木の根の出たところもあり、足がガクガク・・・であった。

スラブ帯に咲いていたキンコウカ

白毛門1720mの山頂にて