【台高】小橡川・左又谷

記 吉岡 章
タイトル  
メンバー L吉岡、榎、京極、岩本、西村、大竹、中辻、佐々木、上仲、丸尾、木下、八嶋、(林)
日程 2012年9月9日(日) 天気  
場所 【台高】小橡川・左又谷 地形図 大台ケ原
歩行時間 遡行時間:7時間17分 遡行図 有り
コース
タイム
コースタイム:入谷(7:00)→大堰堤(7:48)→堰堤上(8:35)→亀ノ甲谷出合(9:45)→植林小屋跡(10:00〜10:30)→左岸からの15mの滝を懸けた枝谷出合(10:46)→二俣(11:18)→2条10m滝(11:40〜12:20)→8mの滝・昼食(12:40〜13:30)→3段10mの滝上(14:30)→右岸からの大きい支谷出合(15:09)→6段70mの滝直下・遡行打ち切る(15:32)→P1100m(16:37)→モノレールが出てくる(16:50)→大台ドライブウェイに出る(17:17)
アプローチ  
装備  
メモ 今回は大所帯のため、時間切れとなり、上流域にかかる6段70mの滝の全容はわからなかったが、機会があれば再チャレンジしてみたい。


左又谷は、大台ヶ原ドライブウェイの辻堂山から経ヶ峰まで辺りの水を集め南流し、小橡で右又谷と合流して小橡川と名を変え、上北山河合で北山川に注ぐ。遡行の対象としては、右又谷のクラガリ又谷が知られているが、左又谷については随分と昔に、中庄谷らの遡行した記録が『台高山脈の谷・下巻』に見られるだけである。そのように不遇な谷で、あるが、今回、会山行で入渓してみて、深い釜をもった滝や、岩壁の発達した廊下やゴルジュが横たわる渓谷を形成し、上流域にはCSの詰まった6段70mの大滝が行く手を拒む(人数が多く時間切れのため大滝は中断)遡行価値の高い谷であった。

9月8日(土)
前夜、大台ヶ原ドライブウェイに車を回送し、林道木和田線を小処方面へと下った左又谷への林道が分岐する地点で泊。

9月9日(日)
翌9日は、大台ヶ原ヒルクライムの日で、早朝から準備に忙しい職員に追われるようにして、右岸からの支流が出会う手前から谷に向けて駆け下り入谷を開始する。
いきなりナメ滝L4mが釜を従えて懸かる(写真@)。若手は躊躇なく、泳ぎで突破していくが、朝一番から泳ぐ気になれず、右岸から高巻いて通過していく。すぐ上にも岩間3mの滝が釜を持って懸かり、ここも泳いで突破した方が早いが、そのまま右岸を巻いて上流に下り立つ。岩間1.5m滝(写真A)のあと、右岸からサカイ谷が入る。谷はナメL6mに続きナメ滝3m、落差は小さいが美しい3mの滝とがあって右から左に曲がり返すと左岸は40mくらいの壁が立ち岩間には小滝が懸かる。これを過ぎると大堰堤が行く手に立ち塞がる。(写真B)。


@岩間に懸かる1.5m滝は泳ぎで突破する

A岩間に懸かる1.5m滝は直登

B大堰堤が立ち塞がる。
右岸コーナーに沿って登るがショルダーが必要

さて、ここの突破はどうしたものかと考えさせられるが、右岸左岸共に壁が立っており、厄介なところである。ここは林道がある、右岸を登ることにするが、傾斜がきつくザイルが欲しいくらいだ。我々が高巻いている途中に、右岸コーナーを登ったKが堰堤の上に立っている。後で聞くとショルダーをすれば登れるとのことであった。この高巻きに45分を費やした。
全員揃ったところで出発。すぐにナメ滝2mが出てきて、ここは岩の間を潜り抜けて通過。
次は岩間に懸かる3条の小滝があって、右岸から6mの滝を従えてヒウラ谷が入る。
深い釜を持ったナメL4mをこなすと4mの滝が懸かるが、これは直登できる。右手に湧き水を見送るとナメL7mが走り、上流には斜滝7mが美しい(写真C)。シャワーを浴びて快適に直登。このあたりから滝が連続し始める。
小滝に続く3mの滝は左岸をこなすと右岸から亀ノ公谷が2段の滝となって流入してくる。
右の本谷はネガエリ谷と名を変え、15mの直瀑が深い釜に落ちている。これがヤッカン滝であろう(写真D)。直登は無理で、ここは左岸を高巻く。
滝の上部にはナメが続いていて斜滝4mにつなげていた。岩間に懸かる小滝をこなしていくと右岸から涸谷が入り、右岸台地に植林小屋跡がある。周囲には杉の植林がなされており、昔はこの小屋をベースに植林がなされたのであろう。ここで、腰を降ろしてコーヒータイムとした。

C斜滝L7mは楽にこなして行ける

 

D右岸から亀ノ甲谷が出合い、
本谷にはヤッカン滝15mが懸かり、
ここは左岸を高巻く

 次に、左岸から細い10mの滝を懸けてイガミ谷が流入する。谷はこの先9mと8mの2段の滝が優美な姿で我々を迎えてくれる(写真E)。ここは右岸から左岸に移り直登するが(写真F)、初心者が居る場合には躊躇わずザイルを出して安全を期したい。


E9m滝と上は8m滝、ここは直登して行ける

F8mの滝上から下流を見下ろす

続いて左岸から15mの滝を懸けて枝谷が出合い、トユ状ナメ滝15mが流れ下る。ここは右手からこなして滝上に出ると、斜滝8×15mが美しく懸かる(写真G)。この谷に見る一番の美瀑で、右手から直登して行けるが、上部に続くナメが良く滑るので注意したい(写真H)。
谷はこの先しばらくはゴーロ状が続き、標高700m地点で二俣となり、奥ノ左俣が分かれる。本谷の右俣にはCSを従えた8mの滝が眺められる。(写真I)直登は難しく右岸から高巻いて落ち口に立つ。続いて岩間に懸かる斜滝5m、斜滝5×10m(写真J)、大岩を従えた2状10mの滝とがあって左右いずれも巻いて通過していくが、後続が登り切るまで40分余り待つことになる。全員揃ったところで、ザックを担ぐ。
次に岩間2条2m滝を見て、8mの滝が懸かる地点で腰を降ろしてランチタイムとする。8mの滝は(写真K)右岸を登り、上に続く3段10mの滝は左岸を直登するが、ザイルを出しての登攀に、全員が通過するのに1時間を要した。さらに上には25mの滝があって行く手を拒む。(写真L)ここは手が出ず、右岸から高巻くが、上流は壁が立っていて廊下が続いている。2mの滝の釜にはアマゴがゆらゆらと泳いでいる。ここまでは釣り人も入る者が無いのか、アマゴには警戒心がないようだ。次にトユ状L20mがあるが突破できず、少し戻って右岸から高巻いて廊下帯を抜ける。廊下にはさらに2段4m滝、トユ状の流れ、ナメ滝2mとがあって廊下が終わる。


G斜滝8×15m、ここは右側を登る
 

H斜滝8×15mに続くナメL10m、
滑っていて滑りやすいので注意したい

ICS滝8mは右岸を巻く
 

J斜滝5×10mは直登して行ける

K8mの滝は右岸を登る

L25mの滝は右岸巻く

 その先、右岸からの枝谷を迎えると13mの滝が現れる。ここは左岸から高巻く(写真M)。
上流には小さいが滝場が続き3m滝、2段5m滝(写真N)と越えて行くと、右岸から小さい支谷が入る。
谷はやや左に曲がり、2段4m滝、CS滝5m滝をこなすと、上流にはCSを従えた滝場の連続するのが眺められる。
これが中庄谷の記録にある6段70mの滝だ(写真O)。谷が左に曲がっていて下からでは3段目くらいまでしか眺められない。
時計はすでに15時23分で、ドライブウェイまではまだ400mの高度差があり、この時点で時間切れと判断して、右岸の支尾根に取り付いてドライブウェイに出ることにした。最初は薮が茂っており、歩きづらいが1113mピークまで登ると、周囲は杉の植林帯となり、ブッシュも無く歩きやすくなる。ピークを下った鞍部の先からは、千草モノレールの軌道があって、それに沿って登って行くと、大台ドライブウェイに飛び出した。時間は17時17分であった。やれやれといった感じを覚えるが、なかなか充実した沢登りを味わうことができ、仲間の顔は満足感に溢れていた。後は回送しておいた車に乗り、左又出合まで車を回収に向かう。


M13mの滝は左岸を巻く.

N2段5mの滝は直登できる

O上流部に懸かる6段70mの滝、
CSが積み重なる連曝帯で下からでは全容が眺められない

                                                  ( 写真と文:吉岡 章 )